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茶家の灰
灰は風炉用も、炉用も自分で作るものであります。
まずよい生灰を使って、炉の灰を作り、何年もかかって、灰を少しずつ備えるのであります。
ある程度炉のよい灰ができたのち、その一部を乾燥して、適当な粒の大きさに乳鉢ですり、ふるいでふるって風炉の灰を作ります。
これはきわめて貴重なもので茶人の財産であります。
茶人はこれを大切に保管します。
風炉の灰など、少しこぼれても、紙や羽ですくい取って、決して捨てるようなことはしません。
したがって、風炉の灰はもちろん、炉の灰でも安易に他人に所望したり、借りたりすることはできないものであります。
むしろ断られて当たり前なのです。
炉でも、風炉でも、釜を煮やして、翌朝尉を取りますが、これが灰の材料として循環します。
茶人にとってはできるだけ毎日毎日釜をかけ、尉を取ることが、灰という大切な財産をふやす仕事なのであります。
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灰は茶人の財産。
というけれど。
常に釜をかけていたという古の数寄者のように、とか。
いわゆる“お茶の先生”のような昨今の職業茶人、とか。
そういうものになるつもりがない、僕としては。
そこんとこ、侘びだなー。
炭を燃やし、灰を蓄え、灰を育てる
というのが、課題だ。
いろいろ考えて、トライしてみようっと。