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炉・正午の茶事では、下火を抑えておくことが必要

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いよいよ炭手前となって下火を直すときには、後の炭を置きやすいように炉の懐の中央よりやや向こう寄りに寄せてまとめますが、私の経験から申しますと、正午茶事の場合、この下火の火気をある程度おさえておくことが必要であるように思います。
昔の茶事と比較しますと現在の茶事は一般に客数が増加しがちであり、しかも懐石が非常に形式化して丁寧になり、これにまた長時間をかけるようになってまいりましたので、
現在の炭の寸法では、濃茶点前のときに湯加減を最適にもってゆくためにはかなり下火の勢いをおさえておかないと、炭が早くに火になりすぎて肝心のお茶のときに湯の煮えが衰えて役に立たぬことになります。

さて、ここに下火をおさえると申しましたが、実はこの手加減がむずかしいところで、私も何年か前、この下火をおさえすぎて炭へ火が移ってこず、ついに鎮火させてしまって、やむなく中立ちの間に湯と火をつぎかえて茶事をした苦い経験を一、二度もっております。
これは後でわかったのでありますが、水で洗っておいた炭を、その乾きのよくないままでやむなく使っていて、そのことを勘定に入れていなかったためでありました。

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(堀内宗心 『茶事を学ぶ』 初炭の項より)


・・・なるほど。


ちょっと思い出したことあり
(別ページにて)

by so-kuu | 2012-06-13 22:38 | 湯相・火相(炭・灰)
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