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釣釜・透木釜はいつ使う?

表千家では、3月に透木釜、4月に釣釜

裏千家では、3月に釣釜、4月に透木釜

とか


流儀のしばり、教条主義はさておいて、
個人的には表千家式の、3月に透木釜、4月に吊釜、が好みだな

吊釜に使った小ぶりの筒釜を5月の初風炉で土風炉に乗せる、なんてのも好い
遠州流ではそんな風にするんじゃなかったっけ?


それぞれの意義を調べてみると…

透木釜:
炉の終わりに近い時季には、暖気に向かって火気を厭うので、
客に暑苦しさを感じさせないよう、炭火が見えないよう、平たい釜の羽根で炉を覆うようにする
また開炉より半年近くを経て、炉中の灰も増えているため、五徳を外し、炉壇に透木(敷木の転訛とも)を置きその上に羽根付の平たい釜を据える

釣釜:
炉の終わりに近い時季には、暖気に向かって火気を厭うので、
炉を深くし、少しの火で湯の沸くように小釜で釣釜にする
筒形、棗形、鶴首、車軸といった細長い釜が好まれる

…なんていう説明をよく見かける

でも、ちょっと変だよな


3月に釣釜を使うために炉中の灰を一部取って炉を深くし、釣釜を使い、
4月になって、透木釜を使う際、炉に灰を戻し、灰の増えた状態を再現する、
ってのは、不自然な説明という気がするもの

3月の炉中の灰の多い時に、透木釜
4月に炉中の灰を少し取って、釣釜(筒釜を使って)
という方が説明としては自然だし、
5月には炉中を片付けて炉を閉じ、(同じ)筒釜を使って初風炉
・・・というのが、流れとしてキレイで、自然かと思われるなあ


炭火の熱、に着眼して言えば

3月には、まだ肌寒い日もあるので
炭火はある程度の量熾して熱は確保しつつ、上に透木釜でフタをして、視覚的には火を隠す形がよいのでは?

4月になると、実際稽古していても、炉辺が暑いと感じたり、釜の湯が煮え過ぎたりする
なので、釜を小さく湧きやすいものにして、なるべく炭火の量(=熱そのもの)を減らすことが大事だろう
灰も減らして、火床を深くて、火と熱を遠ざければ、さらによし

と考えるのが合理的だと考えられる

如何?


(ちょっとメモしておくことに)


追記:

「春には炉中の灰も多くなってくるので、五徳をはずし」云々…これは俗説だろうな

だって、茶の湯は火相・湯相に心するもので、

釜に合わせて、五徳の高さも調整するはずだし
五徳を据える灰の量も調整するはずだし
よく熾る炭を置くためには、毎回、火袋の灰を整えるはずだし

実際、
炉開きから、炉に炭を入れて使い続けながら、熨などをそのままほったらかして、灰が増えていったら、
まず、火袋が小さく浅くなって、炭が置きにくいし
また、火袋の通気性が悪くなって、炭が熾きにくい

あるいは、
月毎の趣向で釜を替えて、
それでいて、五徳の高さを調整せず、火袋を整えず、灰も足したり減らしたりせず、そのままで使い続ける、
というのであれば、
そりゃ、ぬるい茶の湯だな

のは、当然必要な作業 だと僕は思っているし、そうしている

でないと、
湯の沸きがピタリと いかないもん
火袋が浅ければ、炭が置けないもん
火袋が深すぎれば、湯が湧きにくく、炭が余計に要り、エネルギー・ロス(アンチエコ)だもん

灰の量は、
(炭が寸法通りの大きさであれば)
釜底中心から火袋の底までの高さが、
炉なら三寸強、
風炉なら三寸弱(二寸五分強)
になるように毎回調整するべきものだろう

透木釜(底浅い)なら灰を増やすもので
吊釜(縦長で、底深い)なら灰を減らすものだろう

でなければ、ちゃんと湯が湧かないよ、
というだけの話だ

釣釜はいついつですから云々、とかいう教条主義ではなく、




追記2:

「釣釜・透木釜はいつ使う?」

気付いてみれば

どうでもいい話だな

亭主が好きなときに使えばいいんだから

それで、きちんと湯が沸き、ピタリと湯が沸けば、それでいいんだから








by so-kuu | 2009-04-27 17:14 | 茶道具
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