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広田不孤斎の茶道具 (東京国立博物館)

広田不孤斎さんの言葉にひかれるところあり

「広田不孤斎の茶道具」展を観に

トーハクを訪ねた

(展示目録はこちら)



***

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◎彫三島茶碗 銘 木村

彫三島は好きだ
土肌の趣や釉薬のツヤ・カセ
外側のカーブと高台の締まりがきもちよい
ナリコログアイいずれもちょうどよいのが多い、
ってのも茶人注文品と言われる所以か

彫三島にもいろいろあって
青いのと赤いのと
これは青赤入り混じる系だ

いわゆる外花の手
内側は底から花が三段、檜垣文が一段巡っている

上から見るとやや歪


○八角面取釜

六面景色
二面文字


・灰被天目

・竹茶杓 銘 亀 杉木普斎作

宗旦四天王の一人、杉木普斎の茶杓
全体にたっぷりとしていて
よく言われるように櫂先が幅広い
これは節先から櫂先に向かって直線的に広くなっている
露は丸と四角の間のような形
節先は白く、両側きわだけが煤竹色
節下は腰蓑のようになっていて、
これが亀の「緑毛」か


・唐詩断簡(絹地切) 小野道風筆

三筆の一人


・禅院牌字断簡 無準師範筆


・竹尺八花入 銘 一曲 伝千利休作

そうかなあ、別人の、後世の作では?なんて気も

なんか大きい


***


他に、館内を観て回った
立派な茶道具も沢山


(それはまた別ページに…)
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by so-kuu | 2012-09-20 22:17 | 茶道具 | Comments(0)

広田不孤斎の眼と言葉 (『新茶道』小林一三より)

 
 
***

…芸術的な美が希薄だとか、この品には詩がない、夢がない、形にボリュームが足りない、線に動きが欲しい、静けさや侘び寂びに乏しい、これは還元焔だ酸化炎だとかいうようになって参りました。
品物を見るのに、幾分知識や理論で見るようになってきました。
若い愛好家や店員も、それに幾分共鳴するようにもなり、引きずられもしました。
私も今から思えばまだ若かったので、そういう見方なり観賞があるものかと、懐疑にとらわれて、真剣に考えるようになりました。

…文学にも、科学にも、何らの教養を持たない私には、永い年月の間に数々取り扱った実地の経験のみが唯一の頼りです。
理窟は如何でも、物を見てそれが自分の心に美しく感ずる物であればよいと思いますが、
このグル―プの方々には、そんなことは月並みの説明としか思って頂けません。
世間は一般に、愛好家でも、業者でも、物の真偽の結論を出し、美の有無の理論を付ける方を、目利きであり、審美眼のある偉い人だと思う嫌いがありますが、
私は仲々そう簡単に結論の出るものではないと思います。
 
学問や科学の力も偉大なものです。われわれも大いに教えられ参考になります。
それによって真偽を鑑別し美を見ることは、大切なことだと思います。
しかしそれだけから結論を出されると、文献のみによって、それを芸術価値と混同して偽物を買ったり、作家の場合には、技術の面だけから見て、審議を謬まったりする場合がないとはいえず、
また往々間違いもあるように思います。
そういう方々の買われたものにも、そんな業者の納めた物にも、偽物がある例をしばしば見て居ります。

***

若い頃からこれと同じように、近年まで自分の専門の陶磁器を見れば、わかった積りで平素の慣れから判断を即決したものです。
とかく若い時代には結論を急いで付けたがるものです。

研究を積めば積むほど、真偽の判断に苦しむ物が多くあることを知りました。
国籍(日本・中国・朝鮮・諸外国)に至ってはなおさらのこと、何と判別してよいか得体のわからぬ物が数あるには驚きます。
古い物だとはわかるが、何処の国の物かもわからず、年とともに自分の鑑識に自身が持てなくなってくるような気がして、
要するにわかったと思ったことが間違いでわかって居らぬ物が多いのだとわかったのです。

先輩の目利きにこの話ををしましたら、自分もその通りだよ、世の中には目利きなどは居らないものだよ、といわれましたが、なるほどと今になって思い当たります。

自己の鑑識に酔う過大評価で冷水三斗の目に幾度も遭って、以後は自分で判別できぬ品と、国籍のはっきりせぬ自信の持てぬ品は、なるべく避けて買わぬことにして居ります。

***



僕は、知識や理論で、自分の目玉を曇らせてはいないだろうか?
また、経験が、初な感度を鈍らせてはいないだろうか?

心を空しくして、眼を澄ませて、ただ、モノと向き合おう。
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by so-kuu | 2012-09-14 20:03 | 茶人 | Comments(0)

ふしぎ発見!茶道具と銘をめぐる物語 畠山美術館 斗々屋茶碗「隼」 石州好肩衝角風炉

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「ふしぎ発見!茶道具と銘をめぐる物語」と銘打った畠山美術館の企画展に行った

目録によると、その展観内容は…

***

長い年月をへて大切に守り伝えられてきた茶道具の逸品たち。
日本の茶人は、この世界に一つしかない茶道具の数々に尊敬と親愛なる気持を込めて「銘」を付けました。
「銘」とは優れた茶道具に付けられた別名のこと。
茶道具そのものに書き付けたり保管用の箱に記されて、茶道具を愛した人々の想いや美意識を今に伝える懸け橋ともなっています。
本展では、「なぜ、この銘が付いたの?」という物語から、「どんな人がもっていたの?」、「そもそも茶道具ってどうやってしまってあるの?」という素朴な疑問まで、茶道具と銘にまつわる不思議に迫ります。
季節にふさわしい作品とあわせてお楽しみください。

***

最近では、夏休み頃に子供向けの企画展をする美術館が増えているようだ。
それは大変結構。
ただ、
上記のような主旨が、実際の展示で“子供たちに”理解してもらえたか?
と言えば、ちょっと覚束ないような気がした。
展示構成、説明や表示など、中途半端で。
もう一段・二段の工夫が要るように感じた。
少なくとも、作品解説の紙は、いつものものだけでなく、
特別に子供向けのものを用紙して、添えるとよい、と感じる。
次代を担う青少年の文化教育のため、今後に期待。


さて


僕個人は、銘はさておき、モノを観に行った。
まずは、モノ、そのものと僕の眼玉が出会うところを尊重したい。



僕の眼に映ったのは…


---


○玉舟宗璠*墨蹟 一行書

沢庵和尚の 「檻前山青水寒」は野村美術館で観た

玉舟宗璠は片桐石州の慈光院の開山だったな
*「璠」は王に番


☆四畳半の床の間の花がよかった

竜胆2種(薄紫と白)に
雪柳の葉が添えてあった
鉈籠花入れもよい
編みがやや緩く色も明るめで、ざんぐりと粗相でいいな


◎瓢花入 銘 木兎(みみずく) 千道安作

小さめで、肌が黒々とした瓢に円い穴を空け、
後ろに金具を付けて掛花入にしてある


○雲龍釜

僕は雲龍釜が好きだ
これは、かなりやつれてるな


◎石州好肩衝角風炉

夏用の小振りの風炉を探していた
これ、ピッタリだな
雲龍釜でもいいし
瓢釜を合わせても、曲線と直線の対比が面白いかも
上から見ると四角い角風炉だけれど
よく観ると
直線一辺倒ではなく
側面の角近くや
三つ足のラインに
ゆるやかな曲線を用いている、ってのがまた心憎い
これ、いいなー


*片桐石州公、直線と曲線の合わせ使いが特徴的だな!

この角風炉といい、
面取の茶器といい、
慈光院の丸材と角材の組み合わせといい



・灰器 大笑 樂長次郎作

デカッ!
とにかく大きい

銘は近代になってのものか


・蕎麦茶碗 銘 蛍

蕎麦茶碗
黄味と青味の片身替わり
大らかで、夏の濃茶にはよいだろうか
銘も夏の使用のために付けられているよう

箱書は松平不昧
隷書と定家様

蕎麦茶碗の中の絶品か?
と言えばそうでもないと思う


・共筒茶杓 銘 水の江 小堀遠州作

茶杓自体は、別に…
美竹、と言うが、別に…


○ととや茶碗 銘 隼

斗々屋茶碗の類に入るんだろう
土の感じ
薄い釉の感じ
本手といっていいのかな?
少なくとも平手ではない

とにかく小振り
茶箱にでも取り合わせたいくらいだ

しかし、まあ、次第(袋・箱・風呂敷など)が立派なこと
塗りの外箱には鍵まで付いている

茶碗そのものがどれだけのものか?はそれはそれとして

こうして、「銘」や「次第」や「伝来」によって、いわゆる名物が生まれていくのかなー、と感じた

(因みに、この「隼」、近著『名椀を観る』にも紹介されていた
… それについては、また今度書き留めておこうかな)


○黒楽茶碗 馬たらい 樂一入作

黒に赤茶混じりの釉肌
内側の腰・見込の削り、茶溜りへの曲線が不均一で自然、
たっぷりとした量感があっていいな


・共筒茶杓 銘 千鳥 益田鈍翁作

山梨は塩山の名所に因んだ古今和歌集の
「しほの山差出の磯にすむ千鳥君が御代をば八千代とぞなく」
より

茶杓自体は特に…


○絵唐津波兎文火入

桃山らしい形の唐津
絵はひょうげた兎と波、桧垣文


・竹筒菊花文煙草入 瀬田掃部作

竹に菊の花のように彫ってある
瀬田掃部直々の作?
やっぱり作らせた好みもの?


・和歌屏風 益田鈍翁筆

八曲の真ん中2面に丸
それを挟んで
「月も日もおのかすむ世もまろけれはわか心またこれにならはむ」


---


さて、「銘」ということについても考えさせられた


道具あっての銘



銘あっての道具

がある、ということ


銘がなくても名物、というモノ



銘によって名物になれたモノ

がある、ということ


(それについては、別ページにて、書いてみようかと思う。)
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by so-kuu | 2012-09-12 19:21 | 茶道具 | Comments(0)

檻前山深水寒

檻前山深水寒


『碧巖録』
第二則
趙州至道無難の一節


「至道無難 言端語端
一有多種 二無両般
天際日上月下 檻前山深水寒
髑髏識尽喜何立 枯木龍吟銷未乾」
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by so-kuu | 2012-09-12 06:30 | 茶禅一味 | Comments(0)

「消息」という茶道具って?

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「消息」というのがある

手紙のことだ

茶の湯の世界では、その消息が、“茶道具として”もてはやされている

千利休が織部に当てた手紙、だとか
織田有楽の茶事への案内状、だとか
東福門院がお公家さんに飴よを贈った際に添えた文、だとか


そういうのを
表装して、掛軸にして、茶の湯の床の間に飾る

古の茶人や傑僧の徳を思う、というのは悪くなかろう


けれど、僕には、どうも、ちょっとした抵抗があるなー


まず、

誰かと誰かの手紙を、後に第三者が第四者に披露する、ってのは、なんだか申し訳ないような気がする

という単純なことと

つまらない内容なのに、書いた人が有名人だから良しとする、っていうミーハー感があるならそれはイヤ

ということなんだろうな


もちろん、上手に使えば、洒落てる、と思う

茶道具としての消息は、
すなわち、茶事で消息が使われたら、
僕らは、
消息を書いた人・消息を受け取った人はどんなに立派か?
ではなく、
その消息を茶道具として茶事をしている、その茶事の亭主の力量や如何?
を問うべきものだろう


ある茶事で、ある消息が床にかけるなら、
亭主には、それなりに思うところがなくては
その消息を“道具として”使って、自分の茶の湯を表現しなくては
そうでなくっちゃ、他人のふんどし茶の湯だもの


先日、三井記念美術館の「如庵」写展示室で観た、
織田有楽の消息(茶事の案内状)には、しびれたなー

あんな茶の湯がしたい、と思う


けれども、
であるならば、

その消息をかけて茶の湯をするのではなく、
そんな案内状を書いて、自分の茶の湯をすればいいんだな


あー、楽しみ…
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by so-kuu | 2012-09-07 07:10 | 茶道具 | Comments(0)

展示室3 如庵 茶道具取り合わせ 織田有楽の書状 三井記念美術館

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三井記念美術館に行った。

「日本美術デザイン大辞典」と銘打って、三井さんのお宝が並んでいたのだけれど。

展示室3 如庵の取り合わせがよかった


---

☆消息 七月七日付 織田有楽筆
△瓢箪風炉・釜 佐久間将監好
・木地釣瓶水指 千宗旦在判
○大井戸茶碗 織田有楽所持
◎黒塗棗 武野紹鴎好 秀次作
・竹茶杓 千利休作

---


というより、

掛物、織田有楽の茶事案内状にしびれた

(僕は、消息を茶道具として使うことに多少の抵抗感もあるのだけれど…詳細別ページにて)




“わがままな申し出ですが、
お暇でしたら、明朝一服
申したく・・・
返事待ってます 謹言
七月七日 有楽(花押)
(宛名)ちくこ殿まいる 有楽”

といったところか

いいなー
そんな茶の湯がしたいなー



展示品は、
三井家伝来品を用いて、
“七月八日、織田有楽の朝会”
らしい取り合わせを、ということに


☆まず掛物

文面も筆致もよいけれど
表装もいいな
上下は紺、紙か
一文字はベージュ地に金襴
で、中廻しが面白い
黒と茶ままたは金の細かい市松(チェック)柄


・茶碗も有楽自身のもの

大井戸、というにはやや小ぶり
ちょっとザラッとして
大井戸・古井戸・伊羅保の間のような茶碗
中途半端とも言えるけど、さりげないとも言えるな
さっぱりとして、夏の朝茶にいいな


◎棗は紹鴎好

これまた僕好み


○竹茶杓は利休自作

無銘
記名もなし
但し、筒の〆印がいわゆる「ケラ判」
ご立派な蟻腰で利休らしいが
立派すぎるとちょっとうるさく感じたりもする
筒の底にも花押が(誰のものか不明)


○木地釣瓶水指は宗旦在判だそうだ

伝来品なので、かなり薄汚くなっている
これは歴史資料として価値のあるもの
けれど、本当に茶事に使うなら、
木地道具は新しいモノを
サッパリしてなくっちゃ
ずぶりと濡らして使いたいな


△瓢箪風炉・釜 佐久間将監好

旧暦七月、夏の朝茶
で、ひさご形を持ってきた、ということなんだろう
これはこれで結構

けれど、
個人的に、
モノとして、これ好きじゃないな

風炉釜が全体として瓢箪形
釜の地紋も瓢箪
釜の鐶付も瓢箪
釜の撮みも瓢箪
極めつけは、
風炉の足も、丸を二つ重ねたような瓢箪形を示している

やり過ぎ
野暮ったい

でも、このやり過ぎ感こそが、佐久間将監ワールドなのかも。
本人が好きな茶の湯をすればいいのであって、
気の合う人同士で茶の湯をやればいいのであって、
僕がとやかく言うことではない

古田織部の弟子、
遠州と茶友の将監

たとえば、有楽と仲よしだった金地院崇伝も織部の弟子で遠州と懇意
なので、有楽と将監も茶の湯付き合いがあったのかもしれないけれど

今回のこの取り合わせでは、風炉釜だけが悪目立ちしてる、と思ったのは僕だけかな?

紹鴎・利休・宗旦との流れからすると、
織部・遠州系の将監だけ浮いてるような

あるいは利休茶杓をやめて、有楽自作の茶杓にすれば、
あるいは織部の茶杓などにすれば、
バランスが取れたかも

(まあ、何でもいいんだけど)






以上、
所感&取り合わせ頭の体操
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by so-kuu | 2012-09-07 07:01 | 茶道具 | Comments(0)

「日本美術デザイン大辞展」 三井記念美術館

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三井記念美術館に行った

日本美術の用語を実際の美術品を使って解説するという形式の企画展
50音順の美術用語に合わせて、所蔵品を中心に約90点の展示





・「葦手絵」…平家納経 法華経分別功徳品第十七(模本) 田中親美

わー、すごいきらびやか


・「鱗文」…色絵鱗文茶碗 野々村仁清作

黒字に鱗文の京焼茶碗で、別に珍しくもないけれど。
そもそも濃茶用に造られた、というのが、今の茶の湯の常識からすると新鮮
そうだよな、別に柄物茶碗を濃茶に使っちゃいけない、とかいう言い方は、考えてみれば根拠に乏しい
まったく侘び茶でない濃茶だってあるんだよな


・「肩衝」…唐物肩衝茶入 北野肩衝 南宋時代12~13世紀

名物
重文
けど欲しくはない


・「切金」…雲月蒔絵沈箱 江戸時代・17世紀

なんか惹かれた


・「青海波塗り」…青海波塗皿 柴田是真

透漆の上に青海波塗り イキ渋っ!


・「外隈」…富士図 円山応挙筆

すっきり


・「トウテツ文」…古銅龍耳花入

象の鼻のように見えるんだけど、龍と云うんだよな


・「火襷」…備前火襷水指

火襷の景色はともかく、ナリがいい

・「楽焼」…黒楽茶碗 銘 俊寛 / 赤楽茶碗 銘 鵺

見過ぎて、飽きちゃったかな
のんこうに興味がないからかも


・「柳営御物」…唐物肩衝茶入 銘 遅桜

大名物「初花」に劣らぬものとして名付けられた、とか
上部が張ってやや腰高
あまり感心しないな


・「六祖図」…六祖破経図 梁楷筆

達磨さんから第6代の禅宗の祖師の一人、慧能のこと
彼が経を破っていることで、禅における「不立文字」を示す、とか
でも、実際に六祖慧能が経を破ったというエピソードは伝わっていない、とか
「不立文字」は「茶人文盲」という批判の言い訳にはならない
禅と茶
それを兼帯する茶人が一体どれだけいただろうか?
そもそもの「茶人文盲」と言われる意味を、茶人はよく噛みしめ内省すべきだと思う


・「碗・椀」…黒塗一文字椀 伝盛阿弥作

「伝盛阿弥作」とは「盛阿弥作とはいえない」と言うことで、“盛阿弥作じゃないだろう”と読んでいる
いずれにしても、ステキ
直線的な形とスムーズな塗りがいいな





以上、備忘録&また観たときのためのメモ
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by so-kuu | 2012-09-07 06:24 | 茶道具 | Comments(0)