カテゴリ:菓子( 47 )

松風をきく・・・ その4 西六条寺内松風 (亀屋陸奥)

京銘菓のひとつに「(味噌)松風」がある。

“和風カステラ”とでもいうような感じだけれど。
玉子・バターなどは使っていない。
小麦粉・砂糖、麦芽飴・白味噌を混ぜた生地にゴマなどのトッピングをして焼き上げる。
その誕生は安土桃山時代だそうだ。

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京都ではいろいろなお店が作っているけれど。
その中でも、一部で「松風御三家」と呼ばれるものがあるらしい。

1.亀屋陸奥 「松風」 (「松風」の元祖、西本願寺前、西中筋通七条上る)
2.松屋藤兵衛 「紫野味噌松風」 (大徳寺近く、北大路)
3.松屋常盤 「味噌松風」 (御所南、堺町通)

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僕は「松風」が好きなので、見つければ求めて食べてみる

その後、まずみつけたのが、

4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」


そして、先日の旅で出会ったのが、

5.紫竹庵 「京松風」(味噌松風)

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このページでは、

4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」

について書いてみる。

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亀屋陸奥は、いわば「松風」の本家で。

定番商品「松風」を出している。
その詳細は別ページにて。


その、今で言う本家「松風」は、四角い。
そして切った状態で箱詰パッケージ。

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(画像:WWWより)

対して、
この「六条寺内松風」は、丸い。
そして、切らずに、丸ごと一枚で袋入り。

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(画像はわが家にて自分で切ったもの)

“丸い松風”をあえて作ったのは、
「松風」が元々信長の本願寺攻めの際に、本願寺勢の兵糧として生まれた、
寺の銅鑼などをフライパン代わりに焼いた、という伝えに基き、
その昔をしのぶため、とか。

「西六条寺内松風」というネーミングは、
“西本願寺の中で焼かれた松風”という意味なんだな。

丸い、ってのが、「西六条寺内松風」のアイデンティティであり、第一の特徴だ。

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そして、第2の特徴は、「大徳寺納豆」が入っていることだ。

塩辛い発酵させた大豆で、一種の京名物。
京都の和菓子にも大徳寺納豆入りのものは多い。

ケシの実ののった定番「松風」に大徳寺納豆を加えた、というのが、
実は丸いということ以上に、「西六条寺内松風」のキャラクターになっていると思う。

現に、僕は、この大徳寺納豆入り「西六条寺内松風」に出会ってから、亀屋陸奥の本家「松風」(大徳寺納豆は入らず)は買っていない。

松風はそもそも素朴・質素な菓子で、
はじめはパサつくけれども、噛むほどに味わいの増す、その奥ゆかしさが本領。
そこに個性の強い大徳寺納豆が入るのはどうか、という向きもあろう。
でも、実にあうのだ。
「磯の松風うらさびし」の風情がいや増す、と言ったら言い過ぎか。
口の中でたまに出喰わず大徳寺納豆が実に味わいを引き締めてくれるように思う。

大徳寺納豆を加えた松風ならば、
2.松屋藤兵衛「紫野味噌松風」
が代表的だろうけれど。
それとも、また違った味わい。
2.松屋藤兵衛「紫野味噌松風」が大徳寺納豆を前面に出しているのとちがって、
4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」の大徳寺納豆は散らしてある感じ。
本家の松風の素朴な風合いを失わずに、アクセント・変化・楽しさを添えている。
この辺のバランスが個人的な好みとも合うなあ。

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もうひとつ、書き加えたい「西六条寺内松風」の第3の特徴は、パサパサじゃない、ということ。

これは主に包装によるものだ。

本家「松風」は、全体を四角に切って、また小さく切り分けて、箱詰めで販売。
切口から乾燥しやすく、また箱からも水分が抜けていくので、食感が固めで、パサパサ。
(但し、その分日持ちよし。)

一方、
「西六条寺内松風」は、全体は焼目で覆われ、切り分けもなし、したがって切り口から乾燥することがない。
さらに表面保護の紙一枚に包まれた上で、アルミパックに袋詰めで販売。
食べる際に自分で切り分けるまでは乾燥しにくいわけだ。

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(画像:WWWより)

本家に比べ格段に乾燥しにくいことは、その食感・味わいにもハッキリ表れている。
しっとり感があり、口中でパサパサすることもほとんどないと言っていいだろう。
(但し、本家よりもやや日持ちしない)

(日持ち、と言えば、しっとり・もっちり・どっしり・こっくりの3.松屋常盤の味噌松風は
“今日明日でお召し上がりを”と、たった2日間の賞味期限だったっけ)

(いや、まてよ。松風は元々兵糧。賞味期限が切れたっていいじゃないか。
パサパサになってもしばらくもつし。
パサパサの堅いのを千切りちぎり食べ、噛んでかんで楽しむのが、
本来の松風の楽しみ方なのかもしれないな。)

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さて。

1.亀屋陸奥「松風」と比較しながら、
4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」について書いてみた。

ご本家らしい素朴さに、古をしのぶ想いと、大徳寺納豆の風味と、新技術などの工夫を加えた、「西六条寺内松風」。

大変美味しく頂きまました。



(つづく: 5.紫竹庵 「京松風」(味噌松風)のページへ)
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by so-kuu | 2012-11-06 12:09 | 菓子 | Comments(0)

「月影」 亀屋清永製 (晩秋の月夜に)

金曜の夜、

駅からのいつもの道、途中から東向きの裏露地を歩くと

その東の空、家々の屋根の上、

漆黒の空に、月を覆った群雲が、ムラムラと輝いていた


眺めながら、歩きながら、ふと、気に入りの和菓子のことを思い出した


「月影」(亀屋清永、京都八坂神社前)

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黒糖羊羹の中に浮かぶ胡桃の景色が、ちょうど今夜の空のよう


ところで、

「月影」って何だろう?

月光でできる影?
月に照らされた景色?
月そのもの?
月面の模様?


調べてみると、

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1 月の形。月の姿。月。《季 秋》「―をくみこぼしけり手水鉢/立圃」
2 月の光。月のあかり。月光。「淡い―」
3 月光に照らされて映る人や物の姿。
「ほのかなりし―の見劣りせずは、まほならむはや」〈源・橋姫〉

---


とあり。

僕が月夜の空・雲の景色に「月影」を思い出したのは、3の意味だな

一方、ちょっと気になるのは、お菓子「月影」が半円形の羊羹だという点

すると、丸い月の中の模様を「月影」といっているのかな?すると1かな
いや、丸いのは天球=夜空だとすると、月光に照らされた群雲が「月影」、するとやはり3?
いやいや、雲を照らしている月の光をイメージして「月影」と銘うつなら、2もあるな


まあまあ、どうでもいいや

因みに、
亀屋清永WEBサイトには、

---

黒砂糖を羊羹状にし、中にはくるみが入ってございます。
法然上人の「月かげ」に因み万人に愛されたいという思いを込めて丹念に作りました。


---

としか書いていない。


とにかく、

金曜の月夜の空がキレイだった!

そして、たぶん、

気に入りの和菓子「月影」を求めて帰らなかったちょっとした心残りが、
空を見た僕に「月影」を思い出させて、
また、こんなメモを書かせているんだろうな



(以上、ツイッターには収まらない、長めのつぶやき)


追記:

「月影のいたらぬ里はなけれども眺むる人の心にぞすむ」
の法然の道歌から命銘された、という、
亀屋清永の「月影」
先に書いたとおり、黒糖羊羹にクルミが入っている
黒糖好きのクルミ好きな僕には、たまらぬものなり
黒糖と胡桃の香りのマリアージュがまたいいんだな
ひとつ残念なのは、プレカットの個包装だという点
ちょっと薄いので、茶事の菓子には使いにくい
一本の長い棹物であれば、客が好みの厚さ・薄さに調整できる
棹物なら、厚くカットして茶事の主菓子にも使え、薄く切れば他の干菓子と合わせて薄茶にも使える
ちょうど今頃の、晩秋の、月が冴えて、ちょっと寒い、寂びとした、やつれの時季の茶の湯に、いいと思うんだけどな
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by so-kuu | 2012-11-02 22:19 | 菓子 | Comments(0)

松風をきく… その1・2・3 (銘菓「松風」御三家食べくらべ )

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伊勢・奈良・京都を旅した。

お目当てはいくつかあったのだけれど。

京都での重要なミッションのひとつが…

「松風御三家食べくらべ」

だった。


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京銘菓のひとつに「(味噌)松風」がある。

“和風カステラ”とでもいうような感じだけれど。
玉子・バターなどは使っていない。
小麦粉・砂糖、麦芽飴・白味噌を混ぜた生地にゴマなどのトッピングをして焼き上げる。
その誕生は安土桃山時代だそうだ。

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京都ではいろいろなお店が作っているけれど。
その中でも、一部で「松風御三家」と呼ばれるものがあるらしい。

1.亀屋陸奥 (「松風」の元祖、西本願寺前、西中筋通七条上る)
2.松屋藤兵衛 (大徳寺近く、北大路)
3.松屋常盤 (御所南、堺町通)

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で。

自転車を走らせて、3種をゲット。

それぞれの松風を聴いて(利いて)みた…

---

1.亀屋陸奥 「松風」

なるほど。
いかにもご本家らしい、と言えるかも。
実に素朴なのだ。
信長に攻められた本願寺勢の陣中で兵糧として考案された、との逸話が納得できる感じ。
比較的パサッとしているが、噛んでみると硬いわりにはもちっとしている。
表面の味噌の香りはさらっとして、白いケシの実が散らしてある。
あっさりとしながら、噛むほどに風味が出る感じ。
一箱分は一番薄くて一番長く、小さめにカットされている。

2.松屋藤兵衛 「紫野味噌松風」

大徳寺門前の店らしく、大徳寺納豆を入れている。
大徳寺納豆を使った和菓子は色々あるけれど。
例えば「無門」なんかは大徳寺納豆の香りバリバリで、好き嫌いの分かれる味。
一方、この「紫野味噌松風」での大徳寺納豆は、そのものの香り・味だけが際立つことはなく、むしろ“生地の味噌が焦げたような風味”を増す役割を果たしている。
いずれにしても、まあ存在感は大きいのだけれど、僕にはとっても好印象。
気に入ればクセになるタイプだな。
表面はカステラのような色に焼けていて、白ゴマと黒い大徳寺納豆が散っている。
一箱分はやや厚めで小さめ、カットされている。

*因みに、こちらの店には「福耳」なる人気商品がある。
味噌松風を作る際、「食パンの耳」状の切り落とし部分がたまってくると、袋に詰めて店先に出す、とか。
いつ出るかはわからず、数も少なく、またすぐに売れてしまう、幻の逸品、とか。
念のため訊いてみたが「ああ、出ちゃいましたねえ」。
いつかは…!!!

3.松屋常盤 「紫野味噌松風」

(*このBLOGで前にも一度紹介している … http://sokuu.exblog.jp/11892204/ )

めちゃめちゃみずみずしい「きんとん」で有名なこの店。
松風もまたこだわりの造り。
生地の水分含有量がずば抜けて高い。
なので、日持ちもわずか2日と、比較してもっとも短い。
出来るだけ当日中に食べたい感じだ。
生地の食感は、しっとり、どっしり、こっくり。
生地の色はやや茶色味を帯びている。
焼き上がり状態でも、表面の味噌がぬったり生々しくて、手にも付くし、プーンと香る。
生地の味噌含有量がとても多いのか、または、焼いている途中で味噌を上塗りしているんじゃないか、と思うような感じ。
表面のトッピングは黒ゴマ。
一箱は一番厚くて、どっしりと重い。
予めカットされていないのも、ある意味贅沢な感じ。
因みに、今でも炭火で焼いている、とか。(*いや、もう電気に替わった、という話も後に聞いた。)

---

((まとめ))

「(味噌)松風御三家」食べくらべ私論

1.亀屋陸奥 … 素朴さの中に風味有、ご本家らしい奥ゆかしさを楽しむ
2.松屋藤兵衛 … 「大徳寺納豆」入り、独特の風味を楽しむ
3.松屋常盤 … リッチな「味噌松風」、素材と仕事の贅を楽しむ

いずれも、眼と鼻と舌と顎を使って、シンプルな素材のハーモニーをじっくり楽しむべし。

以上
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by so-kuu | 2010-05-18 12:20 | 菓子 | Comments(0)

紫野味噌松風 (松屋常盤)

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京都、松屋常盤さんの「紫野味噌松風」を頂く


!!!


僕はガトーショコラにしても重たいしっとりしたのが好み
僕はチーズケーキにしても重たいこっくりしたのが好み

そんな僕にうってつけの、この味噌松風!!!

どっしり!
しっとり!
もっちり!
こっくり!


「松風」とか「紫野松風」とか「味噌松風」って、京都内でもいくつものお店で作っているようだけれど
店によって個性があるんだな
ドライだったり、しっとりだったり
ふわっとだったり、もっちりだったり
白味噌の風味が、あっさりだったり、ハッキリだったり、
大徳寺納豆が入っているもの、いないものがあるし

松屋常盤さんの味噌松風は、とっても僕好みだ

どっしり・しっとり・もっちり・こっくり

味噌の香りも豊か
ホンノリとした甘さも好ましい


マイ・フェイヴァリット和菓子がまたひとつ増えた

と、同時に

改めて、色んなお店の「松風」・「味噌松風」を食べてみたい、と思った


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因みにこの「松屋常盤」さん

定番商品はこの「きんとん」と「味噌松風」の2種のみだそうで
(季節により変わるみたいだけれど)

店にはショーケースもなく、品物は並んでいない

予約した品物を取りに行って買う、というお店なんである

京都にはこの手のお店が結構あるよなあ


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関連記事:

松風をきく… (「松風」御三家食べくらべの記) http://sokuu.exblog.jp/13322539/

きんとん (松屋常盤) http://sokuu.exblog.jp/11885303/
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by so-kuu | 2009-09-08 17:12 | 菓子 | Comments(5)

きんとん (松屋常盤)

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京都、松屋常盤さんの「きんとん」を頂く

薄水色と薄紫色のきんとんをほっこりとあわせ
上に透明の錦玉羹を散らしている
中にはすこしだけ漉し餡


黒文字で切ってビックリ

食べてビックリ

なんとも「水っぽい」のだ

もちろんとても美味しいので、「みずみずしい」という方が適切かな

いわゆる普通のきんとんと比べて、水分含有量がことに多い

夏だけのレシピなんだろうと思うくらい

でも、この水分量の多さがここの特色なんだとか

別の季節にも食べて、確かめたいもの



因みにこの「松屋常盤」さん

商品はこの「きんとん」と「味噌松風」の2種のみ

店にはショーケースもなく、品物は並んでいない

予約した品物を取りに行って買う、というお店なんである

京都にはこの手のお店が結構あるんだな


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関連記事:

紫野味噌松風 (松屋常盤) http://sokuu.exblog.jp/11892204/ 
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by so-kuu | 2009-09-07 16:46 | 菓子 | Comments(0)

初かつを 美濃忠

初かつを

名古屋・美濃忠製
http://www.minochu.jp/katsuwo/index.html


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以前写真を観て、いいな、と思っていた

味わいは外郎(ういろう)のよう、ってのも名古屋っぽい?


「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」

初風炉の茶事に用いたい逸品だな
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by so-kuu | 2009-05-10 12:48 | 菓子 | Comments(0)

【カテゴリ】 菓子 

「花より団子」

ではないけれど

茶の湯において

“お茶そのものよりも、お菓子が楽しみ”

というひとも多いみたい


確かに

茶の湯のお菓子って楽しい

お茶によく合って

美味しくて

美しい


このカテゴリ「菓子」では

茶の湯に使う菓子について書き留めていきます

いわゆる和菓子も

そうでないものも

また菓子以外で茶の湯に相応しいものもあるはず


思えば

砂糖が一般に普及したのは江戸中期以降と言われる訳で

桃山時代、利休さんや織部どの達は、今とは全然違う「菓子」(現代では菓子と呼ばないようなもの)を食べて、オチャしてたんだなあ
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by so-kuu | 2009-05-03 12:50 | 菓子 | Comments(0)