永青文庫の「細川三斎の茶」展
書状・釜・茶杓・花入など みもの、優品多数 で、茶杓について書き留める (会記中展示替えあり) まず、前期展は・・・ ●細川幽斎 ●細川三斎 ●古田織部 ●小堀遠州 ●千宗旦 ●千利休 の作が一度に見られる それぞれの作行き・個性がよく判る、有難い展示 ●茶杓 細川幽斎作 16c 小振り、細目 すんなり 古風と言えば古風 ●茶杓 銘 くろつる写し 細川三斎作 有名な一本 利休作「くろつる」を写したもの、とか 実に素直な作り 切止から中節を経て櫂先へと向かって、作意なく、素直にすーっと広がっていくような形は、利休、及び利休門の茶杓の一典型だろう この作にもそれが表れているように思う 露も撓めも自然な丸み ●茶杓 銘 さかひ 古田織部作 これまた利休門的と言える一本だろうと思う 織部と言えば、利休の逆張り、 桃山時代的で、ダイナミックな、 “ひょうげもの”の印象が、昨今多く語られがち けれど こと茶杓をみると、 利休の形をほぼ踏襲しているものが多い その上で 逆樋や、高い蟻腰や、ことさら深い薬研樋の竹など、竹材をより吟味して用いるところに、個性が漂っているように思う (竹材吟味は、織部の弟子の遠州では、ずいぶんエスカレートした形となったものだ) (千道安からの流れを汲み、織部を通っていない片桐石州は、やはり美竹追求路線に行っていない、というのも面白い) この「さかひ」 オーソドックスでスラリとした作 撓めがやや直線的というか二重撓めに近いというか また枉げの先が長めなのも特徴か その辺の微妙なディテールが、茶杓全体に、大らかさ・雄大さ・男性的な印象を与えているように感じる ●茶杓 銘 安禅寺 小堀遠州作 ね、珍しい竹でしょう?って感じ なんといっても、節辺りに穴が走っているのが見せたい所なのだろう 穴が終わっても切り止めまで樋が通っていて、断面はU字形だ 筒にはお得意の歌銘もバッチリぎっしり こういう、これみよがしなの、苦手
●茶杓 銘 小木刀 千宗旦作 千家三代・元伯宗旦の茶杓 やや小振りで直線的な削りが、いかにも小木刀 折撓め 直腰 この時代の作としては身がやや厚め 切止は二刀(に見える) 削りもスカスカとした勢いが感じられるようだ 好印象 実にスカッとして気持ちがいい こういう茶杓、今度削ってみようかな ●茶杓 銘 ゆがみ 千利休作 あえて一番最後に書く 利休作 例によってすらりとしている そしてなんとも言えない艶めかしい感じがする 僕の観る利休茶杓の特徴かもしれない 丸撓め、丸櫂先 但し 節下が左に曲がっている で「ゆがみ」 これを“作意”ととるか? または“竹に素直につくった”(竹の繊維はねじれながら伸びている)ととるか? 受け取り方は分かれるところかも 作り手の意図は今や知れないし まあ、どっちでもいいけれど 利休作だから、と尊ぶ人は多いのだろうけれど 僕個人としては、ここまで曲がってると、ちょっとうるさいな 以下、後期展 かなり展示替え有 ●細川幽斎作 「鶴」 これもやや小ぶり すんなり 蟻腰で 一刀止か 古風 ●細川三斎作 「けつりそこなひ」 これは細身だ 素直な作ゆき やや下がり節 蟻腰はやや直線的か 撓めがわずかに左にねじれている 櫂先は素直に丸い感じ 筒は真削り 左下にL字型の穴 ●古田織部作 (無銘) 織部らしい作 立派な蟻腰 やや深樋 撓めがわずかに右にねじれている 利休のとも似た素直な櫂先の丸みにして 露はやや平らか 二刀止め 筒は僅かに皮を残し 下部に穴あき ●小堀遠州作 (無銘) やや短めか 特に目立つでもない、珍しくおとなしい作 露は蓮華弁状、わずかに兜巾たつ ●千利休作 (無銘) 黒々としている たっぷりとした蟻腰 なめらかな曲線 ゆったりとした枉げ 櫂先・露は細身の丸櫂先 おっとりもすらりとして 切り止めは二刀か 筒は真削り、はつり目たつ 書付は磨滅してほぼ読めない じつに端正で じつに静かだ 美人だな すばらしい! best everかも 茶杓以外では・・・ 高山右近の書状が、泣ける 出雲肩衝と利休尻ふくらを並べる、ってのはにくい 例の茶碗は何度見ても結構 (また改めて書き留めておこう)
by so-kuu
| 2013-05-20 12:55
| 茶道具
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