五島美術館 時代の美 第3部 桃山・江戸編

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五島美術館を訪ねた

改装した五島美術館
展示室はより暗くなった?


「時代の美 第3部 桃山・江戸編」


○亀甲蒔絵棗

武野紹鴎好み、とか
角ばった感じの棗
袋がいいな
白地間道
に紫の緒
これ頂き

△瀬戸肩衝茶入 月迫

小堀遠州の命銘
中興名物、とか

大したもんじゃないとおもうけどなー


***

徳川時代になって、数寄の御成などが成立すると、
諸大名は(好きでも嫌いでもある程度)茶の湯を嗜む必要が生じた

でも、増大した茶の湯人口に対して、伝世の名物茶道具は絶対的に少ない

そこで

“名物を増しちゃえばいいのよっ”

とばかりに、
当時、3代将軍家光の家茶の湯師範だった小堀遠州が、
適当な品物を選び出し、よいものだ、というお墨付きを与えた、ということだろう

諸大名からすると、将軍家の茶の湯師範が認めた品ならば、蔵品に加え、接待に用いる格好がついた、という事だろう

ここで、考えてみれば、
本当によい道具は、それ以前に、すでに名物の扱いを受けているはずで、
それがいわゆる「大名物」・「名物」なのだ

遠州は、そのセレクションに漏れた、残りものに、名物のレッテルを張った、とも言えるだろう
また、遠州も自身の美意識をもって選んだ、とも言えるだろうけれど
あるいは、時代が下って、茶の湯の好みも変わっていた、ということも感じられる

それらの新・名物は、その後ずいぶん経って、江戸後期に、松平不昧によって、「中興名物」と名付けられた

・・・という話かな

***


○黄瀬戸立鼓花入 ひろい子

利休所持とか
同じく利休所持の「旅枕」が代表ときく
これもいいじゃないか
口の広さ、開き方と全体のラインがいい
だから、ひろい子なんだろうけど


・黄瀬戸一重口香炉 落葉

黄瀬戸ってかんじ


◎瀬戸黒茶碗 武蔵坊

腰の低い器形
ほんのわずか低い高台が削り出してあるようだ
胴には轆轤目
口端はゆるやかな山道
見込は平
釉調はカセている
地の土は灰褐色

ドッシリ
自然体
泰然、って感じ

武蔵坊、との銘は見事
名前によってモノ自身の持つ質感やイメージが増幅するような、好例だと思う


・鼠志野茶碗 峯紅葉
・志野茶碗 梅が香

特にコメントなし


・信楽一重口水指 若緑

松平不昧の命銘とか
あまりピンとこなかった

僕の場合、
信楽の見所は土味そのものであって
ビードロ釉がたっぷり掛かればよいものだ、とは思っていない
時に邪魔だとも感じることもある


・黒織部茶碗 わらや

織部好みの代表格とも言えるんだろう
僕は興味がない

ただ、
裏の漆銘は千宗旦だとか

であるなら、
宗旦がこのわらや茶碗でどんな茶の湯をしたのか?
という点には興味がある
その席に呼ばれてみたい、と思う

後世の僕らが想像するのとはずいぶん違った茶の湯をしていたのかもしれず
そうであってほしいような気もするなあ

(宗旦自身は、千家の茶、などと言うことは考えていなかった、というのが僕の推測・持論だ)



△古伊賀耳付花入

わざとらしー


△古伊賀水指 破袋

古田織部が傑作だと極めている書状があった、関東大震災で焼けた、とか
ある意味、桃山陶の代表作のひとつで、好きな方も多いんだろうな
僕は興味なし
ところで、
この「破袋」という銘は昭和・戦後になってからの呼称なんだって


○古備前耳付

織部以降のグニャリズム陶
僕は基本的に興味がないのだけれど
その手の中で、備前の花入はキライじゃないな
どうしてだろう?


これもなかなか
ちょっと大き目かな


◎古備前徳利

いいな、コレ
曲線・フォルムが美しい
首辺りの細さと胴腰のグラマラスな感じのコントラストもいいな
肌合もいい
大きくて、懐石の相伴の際、ドーンと預けられる感じ


・赤楽茶碗 夕暮 長次郎作

宗易形・長次郎形の一典型
しずかな系統というのか
太郎坊とかまこもとかとも近いかな

口は一文字、内抱え
胴は真っ直ぐ

肌はピンクと言うよりオレンジと言うかテラコッタ色っぽい
口端の方がクリーム色なのが珍しい

銘は宗旦による


・黒楽茶碗 千声 長次郎作

俊寛を小振りにした感じ、というところか
口は山道
釉はややカセ(俊寛ほどマットではなし、東陽坊ほどツヤツヤでもなし)で、荒れ気味
長次郎では腰張りな方


△黒楽茶碗 悪女 常慶作

ザラザラの肌
やや赤みを帯びている
腰が付き出している
見込に大きな茶溜り

極端な造形が常慶と言われる所以か

***

利休の失脚・自刃後、
千家も楽家も生き残りをかけて四苦八苦した時期があったはず
常慶が楽家二代目とされる理由やその謎も、その辺の事情と重なるのだろう

そのためかどうか?わからないけれど
常慶あたりの作風は幅があって面白い、と感じる
香炉釉・白楽とか、井戸形とか、天目形とか
求められるものを、試行錯誤しながら作っていたんだろう

そもそも長次郎は瓦職人であって、茶碗師ではなかったのだ
少なくとも、今日のように、楽家、なんて言われてはいなかった、その感じがいい

常慶は、また、本阿弥光悦とも通じていた、というけれど
本阿弥光悦の筆による「おちやわんや」の暖簾は、
三代のんこう以降のものだろうな

***



○黒楽茶碗 三番叟 道入作

丸っこい器形
いわゆる幕釉
よく溶けてツヤツヤの漆黒釉

のんこうらしい作
僕は興味なし

ただし
のんこう茶碗でたまらなく好きなのは
見込

見込の静かな丸みが素晴らしい

茶だまりのない
見込みと腰の境目もわからないような
なめらかな丸み

***

僕は
黒楽茶碗には
茶溜りがあっては台無し
だと思っている

茶をすする際
顔が茶碗に近づき
目線と意識が茶碗の中に入っていく時
茶だまりのない
静かで真っ暗な見込は
僕に宇宙的な広がりを感じさせてくれる

一碗の中の宇宙、ってやつかな

茶溜りがあると
茶溜りそのものの景色が目に入ったり
茶だまりのカーブのところの釉薬が外の明るさを反射してしまったりして
その宇宙は表れてこないように思う

***


○黒楽茶碗 七里 本阿弥光悦作

黒楽
所々掛け外し
拭き取ったようにも見える
口辺はザクッと切りまわされている
腰は角張っている
見込は平ら
低い高台
カキッとした茶碗だ


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○赤楽茶碗 十王 本阿弥光悦作

赤楽
よく溶けてツヤツヤ
丸々とした形
小さな高台
まろん、とした茶碗だ

手取りはいいだろう、ほっこりとして
お茶が飲み易いか、はどうだろう?


***

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数ある光悦の茶碗の中で

七里と十王をコレクションに収めた五島慶太氏

いかにも仕事できそう

もちろん好きだから手に入れたのだろうけれど

カキッとした黒楽と
まろんとした赤楽を
好対照の光悦黒赤をセットで持つとは

最大公約数を得るような蒐集
ビジネスマン的、投資家的かも

同じ、光悦2碗持ち、でも、
時雨と乙御前を持った森川如春庵氏とは、これまた、好対照だな

(この話は別途書いてみようかな)

***


<書状>

武野紹鴎
明智光秀
織田信長
豊臣秀吉
古渓宗陳
千利休
古田織部
小堀遠州など

が沢山出ていて
それぞれに見応え有
筆に接して人に触れる
ということがあるよな

中でも、特に、


☆有馬茶会記 友阿弥筆 阿弥陀堂宛

が面白い
実際の“茶会の指示書”
道具組み、客組みなどが書かれている


*秀吉・利休から、織部、遠州、と時代が下がるにつれて、武人が暇になっているのがわかる気がする



(以上、備忘録)

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by so-kuu | 2013-02-08 10:35 | 茶道具 | Comments(0)
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