松風をきく・・・ その4 西六条寺内松風 (亀屋陸奥)

京銘菓のひとつに「(味噌)松風」がある。

“和風カステラ”とでもいうような感じだけれど。
玉子・バターなどは使っていない。
小麦粉・砂糖、麦芽飴・白味噌を混ぜた生地にゴマなどのトッピングをして焼き上げる。
その誕生は安土桃山時代だそうだ。

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京都ではいろいろなお店が作っているけれど。
その中でも、一部で「松風御三家」と呼ばれるものがあるらしい。

1.亀屋陸奥 「松風」 (「松風」の元祖、西本願寺前、西中筋通七条上る)
2.松屋藤兵衛 「紫野味噌松風」 (大徳寺近く、北大路)
3.松屋常盤 「味噌松風」 (御所南、堺町通)

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僕は「松風」が好きなので、見つければ求めて食べてみる

その後、まずみつけたのが、

4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」


そして、先日の旅で出会ったのが、

5.紫竹庵 「京松風」(味噌松風)

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このページでは、

4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」

について書いてみる。

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亀屋陸奥は、いわば「松風」の本家で。

定番商品「松風」を出している。
その詳細は別ページにて。


その、今で言う本家「松風」は、四角い。
そして切った状態で箱詰パッケージ。

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(画像:WWWより)

対して、
この「六条寺内松風」は、丸い。
そして、切らずに、丸ごと一枚で袋入り。

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(画像はわが家にて自分で切ったもの)

“丸い松風”をあえて作ったのは、
「松風」が元々信長の本願寺攻めの際に、本願寺勢の兵糧として生まれた、
寺の銅鑼などをフライパン代わりに焼いた、という伝えに基き、
その昔をしのぶため、とか。

「西六条寺内松風」というネーミングは、
“西本願寺の中で焼かれた松風”という意味なんだな。

丸い、ってのが、「西六条寺内松風」のアイデンティティであり、第一の特徴だ。

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そして、第2の特徴は、「大徳寺納豆」が入っていることだ。

塩辛い発酵させた大豆で、一種の京名物。
京都の和菓子にも大徳寺納豆入りのものは多い。

ケシの実ののった定番「松風」に大徳寺納豆を加えた、というのが、
実は丸いということ以上に、「西六条寺内松風」のキャラクターになっていると思う。

現に、僕は、この大徳寺納豆入り「西六条寺内松風」に出会ってから、亀屋陸奥の本家「松風」(大徳寺納豆は入らず)は買っていない。

松風はそもそも素朴・質素な菓子で、
はじめはパサつくけれども、噛むほどに味わいの増す、その奥ゆかしさが本領。
そこに個性の強い大徳寺納豆が入るのはどうか、という向きもあろう。
でも、実にあうのだ。
「磯の松風うらさびし」の風情がいや増す、と言ったら言い過ぎか。
口の中でたまに出喰わず大徳寺納豆が実に味わいを引き締めてくれるように思う。

大徳寺納豆を加えた松風ならば、
2.松屋藤兵衛「紫野味噌松風」
が代表的だろうけれど。
それとも、また違った味わい。
2.松屋藤兵衛「紫野味噌松風」が大徳寺納豆を前面に出しているのとちがって、
4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」の大徳寺納豆は散らしてある感じ。
本家の松風の素朴な風合いを失わずに、アクセント・変化・楽しさを添えている。
この辺のバランスが個人的な好みとも合うなあ。

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もうひとつ、書き加えたい「西六条寺内松風」の第3の特徴は、パサパサじゃない、ということ。

これは主に包装によるものだ。

本家「松風」は、全体を四角に切って、また小さく切り分けて、箱詰めで販売。
切口から乾燥しやすく、また箱からも水分が抜けていくので、食感が固めで、パサパサ。
(但し、その分日持ちよし。)

一方、
「西六条寺内松風」は、全体は焼目で覆われ、切り分けもなし、したがって切り口から乾燥することがない。
さらに表面保護の紙一枚に包まれた上で、アルミパックに袋詰めで販売。
食べる際に自分で切り分けるまでは乾燥しにくいわけだ。

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(画像:WWWより)

本家に比べ格段に乾燥しにくいことは、その食感・味わいにもハッキリ表れている。
しっとり感があり、口中でパサパサすることもほとんどないと言っていいだろう。
(但し、本家よりもやや日持ちしない)

(日持ち、と言えば、しっとり・もっちり・どっしり・こっくりの3.松屋常盤の味噌松風は
“今日明日でお召し上がりを”と、たった2日間の賞味期限だったっけ)

(いや、まてよ。松風は元々兵糧。賞味期限が切れたっていいじゃないか。
パサパサになってもしばらくもつし。
パサパサの堅いのを千切りちぎり食べ、噛んでかんで楽しむのが、
本来の松風の楽しみ方なのかもしれないな。)

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さて。

1.亀屋陸奥「松風」と比較しながら、
4.亀屋陸奥「西六条寺内松風」について書いてみた。

ご本家らしい素朴さに、古をしのぶ想いと、大徳寺納豆の風味と、新技術などの工夫を加えた、「西六条寺内松風」。

大変美味しく頂きまました。



(つづく: 5.紫竹庵 「京松風」(味噌松風)のページへ)
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by so-kuu | 2012-11-06 12:09 | 菓子 | Comments(0)
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