即座に… ~四畳半茶室は小間か?広間か? の一例

こんな会があった


春の炉の茶事

四畳半に

風炉先屏風

蒔絵の炉縁

二字縦一行の書


炭手前に続いて

雛祭の趣向で懐石

中立


後座には

掛花入

萩茶碗に濃茶が練られた



さて

濃茶一服の後

和やかな薄茶の歓談の中で

お客さまが言った


「小間なら、木地の炉縁よねえ」








ビックリ







(・・・広間なんですけど

・・・風炉先があって

・・・塗り炉縁ですが?・)







ご亭主は、客の言葉を、ただ受け流していたけれど

取り合わせによる趣向・メッセージは伝わらなかった、ということになるな

ご亭主のご苦労を思うとせつないものあり








追記:



個人的には

茶事のその最中に、ご亭主の趣向についてとやかく言う、

というのは慎みたい

たとえ

いわゆる茶の湯の約束に外れていることがあったとしても

その日その場で、茶事の最中に

客がご亭主の道具組みや趣向について

批判的と受け取られるようなことを言うのは控えたい

何かしら道具が足りず

理想の道具組み、とはいかないことも

自分で茶事をしたことのある人なら、わかるはず


さらに残念なのは

客が小間の茶、と捉えたのは、思い込みによる誤解だ、ということ


ご亭主は、その日は広間の茶のつもりで、四畳半を使ったのは明白だったと僕は思う

風炉先出てるし

塗の炉縁だし

しつらい・道具組を見渡せば

初座の席入の時点で

即座に

今日の四畳半は広間の茶だな

と受け取れるはずだと思うんだけど?

さらには

懐石も懐石の道具も

雛祭の華やいだ趣向だったし


どこをどう見ても広間的なお茶だったように思う


どこを見て

何にどう感じて

「小間の茶」になったんだろう?


考えてみる

軸が短めだったから?

後座の花が、大きめの置花入に桃、でなく、小さめの掛花入だったから?

花入が渋い時代の籠だったから?

主茶碗がほっこりとした萩だったから?

あとは

水指が土もの、かつ棚なし、だったから?
(これについては小間と誤解させる可能性もなくはない・・・でも風炉先屏風出してるしなあ)


客には客で、小間、と受け取る理由があったのかも?

または、台目の小間と八畳の広間を持つそのお客には、
四畳半は広間としても扱える、
四畳半を小間扱いにしたり広間扱いにしたりと使い分けて茶事をする、という感覚がないのかも?
四畳半は小間、という思い込みがあるのかも知れない

(このへんの感覚の違い、先入観による思いこみが、今回の残念な一件の主因だろうと感じる)


単純に

思い込みとは、怖いものである


とにかく

客は、亭主の心入れを汲み取ろう、と努めなくっちゃ


客も亭主をもてなすのである


今日のこの道具組みで、取り合わせで、ご亭主は何を表現しているのかな?

ということを考えながら席に臨めば

残念なもったいない事態は避けられるように思う


主客ともに一会を楽しむ


そのためにこそ、茶人には、さまざまな稽古・修練があるんだ

なにより、茶事に臨むには、客にも茶人としての心得が要り、責任がある


茶事では、客にも客の技量というものが問われている


(そのために、例えば、四畳半における炉縁や風炉先にピンと来るかどうか?といったちょっとしたことが具体的に茶の湯の成否の鍵を握ったりするんだな、というのが、この話)


さてさて


茶事こそ、茶人の本番。


そのためにも、「即座に…」の心得を肝に銘じておきたい
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by so-kuu | 2012-06-07 06:55 | 茶事 | Comments(8)
Commented at 2015-08-28 13:46 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by so-kuu at 2016-04-25 18:25
長谷川宗洋さま
コメント欄をチェックしておらず
ご返信遅くなりました
自分自身のためのメモとして書いているこのBLOGですが
何かしらお役に立てば幸いです

>このブログで拝見した茶室ではどのようになっていたのでしょうか

直接の回答としては

四畳半下座床の茶室で
給仕口からの踏み込み部に小さな板が入っていました
踏み込んだ畳ではなく、別の畳が点前座でした

ご参考まで
Commented by so-kuu at 2016-04-25 18:32
茶の湯については
流儀もさまざまあり、
また、色々な流れ・教え・伝えがあるかと思います

場合によって、いくつかの教え・伝え・定義の内容が、比較すると矛盾していたりすることもあるかとも思います

どちらが正しければ、もう一方は間違っている、と決めることもないと思います

それぞれの茶人さんには、またそれぞれのお師匠もいて
それぞれが師匠の教えを尊重すればよい
と思いますし

そういう師伝とは別に
茶の湯のテキスト・史料に当たってみるのも
勉強になります

稽古と実践を繰り返しながら
自分の茶の湯
ということを考えてみるのもよいと思います
Commented by so-kuu at 2016-04-25 18:35
この記事では

「四畳半以上が広間、四畳半以下が小間、四畳半はどたらとしても使える」

という、ひとつの定義に基づいて書いています

これは
自分の習いでもあり
割りとよく見かける定義かと思います
Commented by so-kuu at 2016-04-25 18:36
>小間というのは亭主が茶道口から入るその畳が点前畳という場合のことだと理解しています

この定義は、個人的には初めて聞いたものでした

これはこれでよいと感じます
Commented by so-kuu at 2016-04-25 20:00
>畳半を超える席で同様の場合は「小間据え」と呼び、道具組での判断の以前にあるものという理解です

「小間据え」という考え方は、個人的には初めて聞いたものでした

これはこれでよいと感じます

道具以前に踏込畳で点前をするかどうか、で判断するという考え・習い・教えも、それはそれでよいでしょうし
道具組みで判断する考えも、それはそれでよいと思います
Commented by so-kuu at 2017-01-05 20:18
>小間というのは亭主が茶道口から入るその畳が点前畳という場合のことだと理解しています
>畳半を超える席で同様の場合は「小間据え」と呼び、道具組での判断の以前にあるものという理解

・・・上記の分類法を考えてみると

サッパリと分類できない茶室がいくつか出てくるだろう

■小堀遠州の茶席「忘筌」

12畳の広い部屋だが
踏込畳で点前をする

では「小間据え」といえばよいか?と考えると
そこでなされる茶の湯は小間での侘茶を志向したものではないだろう、とも思える
それを、小間据えです、と片付けてよいものか?

さらに
(「道具組での判断以前」というけれど)
炉の位置が点前に移設されたこともあり、台子や棚も置ける
踏込畳で点前をするけれど台子も棚も置ける茶室を「小間据え」茶室です、で片付けてよいものか?

ということにもなる

■無色軒(裏千家)

なんかも
小間?
広間?
というところでは
微妙な茶室ということになるかも
広さは5畳+榑縁張と四畳半以上ながら
向切や作り付けの釘箱棚など侘茶の風情を盛り込んでいて

■他にも

色々あるかも
Commented by so-kuu at 2017-01-05 20:19
茶室の分類法には諸説あり
面白いところだが、
この分類法だとスッキリしないところも出てくるかも

そんな風に考えてゆくと

その茶室でどんな茶の湯をしたいのか?
が大事では?と感じる

侘茶しかしない茶室
広間の茶・書院の茶のようなことをしたい茶室
両方出来そうな茶室

というところかな

小間か?
広間か?
に決着をつけたい
ということ自体が
ドグマ
囚われ
かもしれないな
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