***
灰の種類
茶の湯で使う灰には、炉の灰(濡れ灰)、風炉の灰、蒔灰、香炉の灰、火入の灰、火鉢や手焙りの灰などがある。
灰の役割として、第一に炭火が消えないように保つことがあげられる。
灰には空気が含まれており、炭火に徐々に空気を供給するからである。
また、灰の量を加減することで炭の火力を調節することが出来る。
もちろん断熱材としての役割や、灰形が醸し出す美しさも忘れてはならない。
灰の種類によって湿り加減や粒子の大きさはさまざまであるが、基本的には同じ灰である。
ひと昔前まで、日常の暮らしの中で使われていた灰から手間暇をかけて美しい黄褐色の灰を作り、それを使う目的にかなうように仕上げるのである。
灰作りや灰形をつくることは点前とは異なり裏の仕事であるが、作り方を学ぶにつれ、茶の湯の奥深さに触れることが出来る。
(『灰形と灰の作り方[表千家]』より)
***
灰が空気を含む、ということには、2つの意味合いがあると思う。
1.その空気が徐々に炭の燃焼に使われる
2.灰形によって灰の中に閉じ込められた空気(デッド・エア)が断熱材の役割を果たし、熱を逃さないことで、火袋内の温度が効率的に上昇し、炭の燃焼を助ける
すると
灰の量も大切。
灰形も大切。
季節や道具組など、火相と湯相をめぐる諸条件に応じて、
灰の量・燃えやすさなどを微調整することも出来るはず。