即座に… (「客となった場合」より)

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客となった場合

茶の湯には、主客による「一座建立」という言葉がある。
これは一座の会、すなわち茶事では、主客は常に一体であり、そこでは主客の間に優劣もなく、客は主を助け、主は客のためにベストを尽くすことがたいせつであることをいっている。
茶事での主客の応対ということは、芸能や技術を覚えることとは違い、特に習うべきことではない。主客それぞれ、ありのままの姿でふれ合う中に、応対が自然に結実するということが、茶事では最もたいせつなことであり、また望まれることである。

客は、初入り、後入りの時の床、点前座の拝見で、その茶事で亭主が意図するところをよく会得することができなければ、主客互いに狭い茶室という空間の中で意気投合することはむつかしいであろう。
茶事の中では、数多くの道具が使われる。亭主はこれらの道具を使って、その日の茶事の構成をすることになるので、客も当然これらの道具類を拝見して、即座に理解しなければならず、やはり客としての勉強が必要となる。

しかし、道具のことばかり、シナリオでもあるかのように、茶事全体が主客応対のからくりのようになることはけっして好ましいことではない。むしろ、道具をよく見て、挨拶をしなくてもよいものについては無言で静かな雰囲気をつくることが、かえって好ましいのではないかと思われる。

 客が道具類について挨拶をする場合、注意しなければならないことは、道具に軽重ということがあり、やはり、重い意味のある道具から先に伺うのが妥当である。
 席入りするとまず、茶事全体の構成をつかむうえで、主題的な意味を持つ掛物とか、床飾りに注意を払う。次に点前座の釜、それから水指とか棚などに及ぶが、実際は、床飾り以外は、茶事の進行にしたがって、それぞれの道具が扱われるような時をとらえて、客のほうからそっとその道具について伺うのが好ましい。
 大寄せなどでよく見かける、亭主の方から道具の説明をするということは、好ましい姿ではない。また、香合をはじめ、茶碗、茶入、茶器、茶杓など、あとで手にとって拝見するものは、拝見以後に尋ねるのが原則である。

本章では、客が席入りしてから退出するまで、目にする諸道具について、亭主の心を理解するのに、わずかでも手助けになればと思い、ごく簡単にではあるが一般的な解説を付すことにした。

(以下、各種茶道具ごとの見方について解説がつづく)


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~ 『茶事の心得』(堀内宗完)より


即座に

という言葉に、

グッときた
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by so-kuu | 2012-04-19 22:37 | 茶人 | Comments(0)
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